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教えることと情報量のカンケイ

教えることと情報量のカンケイ

徒然囲碁カフェブログ、始めます。運営や講師をしていて考えたことなど、たわいもない内容を綴っていきたいと思います。今回は「教えることと情報量」のお話。お付き合いいただけると幸いです。

杉浦ふうこ

初心者はなぜ挫折するのか

囲碁に興味をもった時、たいていの人がやるのは「入門書を買って読む・ネットで調べる」だと思います。

実際に教室やルール説明会に来るのは、一度は本で独学を試みたという人たちばかりです。
そんな方達がわたしたちの所に来て神妙な顔つきで言うのは、「ルールは本やネットで読んだ。でもよくわからなかったのでイチから教えてほしい。」

そんな時、ルールを知っていることはわかっているけれど、相手の様子を見つつイチから説明していきます。
「これは知ってる、これは初めて聞いた」などリアクションしながら聞いてくれて、最後は「わかりやすかった!」とほっと安心したような表情になります。

たぶん、私たちが説明していることと本に書いてあること・ネットに載っている情報はほぼ同じ。
なのにどうして学習者側で理解度に大きな差が出るのでしょうか?

それは、本やネットの情報は初心者にとって「情報量が少なすぎたり、多すぎたりする」のが理由だと考えています。

初心者の方は囲碁用語のひとつも知らない状態ですので、わからない専門用語が何個も出てくるとそれだけで理解が追いつかなくなってしまいます。
「打つ」「陣地」「隅・辺」「アタリ」など、初歩的なルールを覚えようとしただけで普段聞き慣れない言葉が山ほど出てくる。
ひとつひとつを完璧に理解できないと次に進めない潔癖さんだったら、早くもここでドロップアウトしてしまいます。

かといって、今度は懇切丁寧に逐一図解付きで説明されたらどうでしょうか。
石が並んだ図を見ても、最初はなんのことやらわかりません。図と説明文を元気に往復する眼球とは裏腹に、思考を停止して閉ざしてゆく心・・・。
挙句の果てに本をパラっとめくってみて(もしくはウェブページをスクロールしてみて)「うわぁ、まだこんなにあるよ・・・」とそっと入門書を(ページを)閉じてしまうのもやむなし、という感じです。

「説明が少なすぎてもわからない、ボリュームがありすぎても辟易してしまう」 囲碁に限った話ではなく、これが世の初心者の常なのです。

相手の棋力によって変えるのは情報の「質」ではなく「量」

囲碁教室なら大盤などを使って講義をするのが一般的だと思います。
わたしたちの教室も、大盤やオンラインの場合は碁盤ソフトを使って講義をしています。

教室を始めたころ、ルールを覚えただけの初心者と初級(15級~8級くらい)の方に同じ講義を受けてもらっていました。
石を大盤に並べながら、「布石の考え方」「基本定石」「石の攻め方」などを説明していきます。

この時、テーマ図(題材)は同じもので大丈夫でも、口頭で説明するべき量が両者で全く異なることに気付きました。

例えば、1~4手目にアキ隅を取る互先の棋譜の場合、初心者の方に「なぜ隅から取るのか」という疑問が生まれたとします。
これ自体は素晴らしいことで、それを説明することももちろんできるのですが、すでにそれを知っている初級者の方たちにとってはその説明は時間の無駄になってしまいます。

つまり、レベルの異なるグループに同じ講義をした場合、「片方にとっては説明が足りない・もう片方にとってはノイズの多い」講義になってしまうのです。

ルールを覚えて小さい碁盤での対局に慣れてきた=ビギナーの方と、19路盤でも終局まである程度スムーズに打てる=初級者の方、この2つのグループは経験だけでなく持っている情報量にも差があります。

対象者に合わせて情報量を変えられないのであれば、先ほど閉じられてしまった入門書と同じになってしまいます。
できれば講義もレベル別にもう少し細分化したいと考えていたところ、オンライン化に乗じて実現することができました。

わからないことはすぐ聞こう

ここからはわたしがレッスンを受講してくれている生徒さん達に伝えたいことです!

先ほど、初学者の勉強方法として「本を読む・ネットで調べる」というのがオーソドックスな方法だと言いました。
でもそれでは情報量が合っていなくて挫折につながりやすいという話もしました。

では何が一番効率がいいのか?
それは誰かに指導してもらうことです。ここにきてポジショントークかよと思われるでしょうが、話の流れなのでご容赦ください。

囲碁が初めての方がなぜリアルの説明会だとスムーズに入門できるのか、という話にもつながってきます。
本やネット記事の作者は、ターゲット層が「初心者」ということしか判断材料がありません。
それに対して対面の指導では、棋力だけでなく、対象者の質問や受け答え・表情など色々な判断材料から、どんな情報を与えるべきかを取捨選択することができます。
疑問に思ったことはすぐに教えてもらえるのですから、学習者側からしたらとても情報効率が良いでしょう。

なので、生徒の皆さんにはわからないことがあったらどんどん聞いてほしいと思っています。
それが「教室に通う」という学習方法を選んだ一番のメリットでもあるから、ね。